2010/09/23

田植えで踊っている人

手塚夏子がインドネシアにリサーチに出発した9月23日、成田空港まで見送ってから、佐倉市にある国立歴史民俗博物館に行きました。その第2展示室「中世」の展示の中で「農村の年中行事」と題したコーナーにあるパネルに、こんな絵がありました。
大勢で田植えをしています。
よく見ると、踊っている人がいる。踊る人は面をつけている。太鼓や小鼓を打つ人もいる。田植えをする人は同じ姿勢をしている。
こりゃなんだろう。お囃子のリズムにあわせて、みんなで一斉に田植えをしている感じかな。なんか楽しそうですな。
この絵は、室町時代の8曲1隻の屏風「月次風俗図屏風」の田植え図だそうです。この解説パネルに書いてあったことがとても興味深かったので、引用させていただきます。
日本の中世は芸能の世紀ともいえる。そこにはやがて能・狂言に結実する田楽、猿楽をはじめとして、歌に舞に語りに、多様な芸場が展開するばかりでなく、文学や美術などの分野においても芸能的性格がつらぬかれているのをみる。宮廷社会に独占されていた古代芸能に対し、中世は、地方民衆のうちに伝えられた歌舞が、武士を先頭とする民衆に担われ、自ら享受されるものとなった時代であり、田楽・猿楽はその代表であり、それらさまざまな芸能は、まさしく庶民の文化として、中世的世界のきざしとともに一斉に登場した。
なるほどなるほど。この絵、とっても好きになりました。
この室町時代に描かれている田植えの、おそらく原型を伝えてくれている行事が、広島県北広島町の「壬生の花田植」。これ、ぜひ見てみたいです。

(大澤)

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